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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



アルバイトであろう年若い店員の女性が光秀をちらりちらりと見て、顔を赤くしながら去って行くのを見届けた凪が、改めて正面に座っている自身の夫へ意識を向けた。

(現代に居ても違和感の無い格好良さ……こっちの洋服着たらまた女の人の注目浴びまくるんだろうなあ)

以前現代へ訪れた折にも経験済みだが、現代の衣服へ着替えた光秀の破壊力たるや凄まじいものがあった。二人の息子が居ても尚、まるで変わらぬ端正な姿に凪は未だ翻弄されっぱなしである。そんな凪の視線に気付かぬ光秀ではなく、くすりと微かに笑いを零した男が、おもむろに片手を伸ばして凪の横髪を軽く耳へかけてやった。

「熱心に俺を見つめて、どうした凪」
「えっ!?あ、いえ別に……変な意味じゃないですから……」
「変な意味でなければ、どういう意味なんだ」
「あにうえみてみて、ながいはこからひと、いっぱいでてきた」
「本当だ、あれだけの人数を一度に運べるなんて……じどうしゃとやらは相当な力を持っているんだろうな」

視線の意図を問いかけて来た光秀へ、彼女が慌てた様子で首を振る。明らかに挙動不審なその様子は何かあると言わんばかり、というよりも大まか理由など分かりきっているにも関わらず、意地の悪い男が凪へわざと問いかけているといった方が正しい。含みのある眼差しを送る光秀へしどろもどろになる凪を余所に、窓の外へ相変わらず関心を向けている兄弟が、バス停に停車したバスから沢山の人が降車している様を見て目を丸くしている。

(臣くん達が外に関心が向いてるのは幸いだったけど……これ絶対言わないと無理矢理言わされるやつ……!!)

光秀と過ごして早十年余り、夫の性格など分かりきっているというものだ。ちらりと凪が気遣わしげに子供達の方を窺うも、未知のもので溢れている現代の様子に二人の目は釘付けだ。今度は自転車に興味を示した幼子が、自分も乗りたいと言い出しているのを、兄が何とか言い包めている。

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