❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
「そう、よく分かったね」
「母上が、以前すまほで撮ったというしゃしんを見せてくださったので」
「こういう料理ですよっていう意味で載せてるんだよ。文字で書かれるより、こっちの方がどんなものが来るかって分かりやすいしね」
「確かに聞いた事のない言葉ばかりなのでそもそも想像出来ませんし、有り難いです」
乱世のような綴り文字という程でもないが、まだかっちりとした文字でない分、読めない訳ではないのか、光臣が必死に品書きを写真と見比べて解読を試みていた。一方光秀と光鴇は、主に幼子の方へ品書きを寄せてやり、興味を抱いた大きな金色の猫目がぐるりとページを一周分回った折を見計らって、父が次のページへとめくってやっている。何もかも初めて目にする不可思議な料理ばかりだが、綺羅びやかな色合いの写真が自然と幼子の食欲を促進したらしい。その中で【和ぱふぇ】と書かれたコーナーに差し掛かったと同時、光鴇の眸が興味の色を灯して輝いた。
「とき、これがいい!」
「ん……?」
小さな人差し指ですぱっと指したのは、【当店のオススメ!黒蜜と抹茶の幸せ白玉ぱふぇ】と書かれているものであった。パフェコーナーのトップを堂々と飾る店のお勧めらしいそれは、品書き一ページ辺りの割合三分の二以上を使って大きく紹介されている。光秀が頬杖をついた体勢で手元を覗き込み、微かに金色の眸を瞬かせると、隣に座る幼子を見た。
「これはお前には少々大きい。食い切れないだろう」
「むっ……とき、たべれる」
「食いすぎて腹を壊してもいいのか?お前一人、宿で留守番する羽目になるかもしれないぞ」
「……!?ひとりでおるすばん、や」
明らかに大人用である大きなパフェは光鴇一人では確実に手に余る。光秀の指摘に不服を露わにした光鴇が、むっと眉根を寄せて頬を膨らませた。一度言い出したら割と聞かないのが子供という生き物だ。だが、そんな幼子相手であっても光秀にかかれば造作もない。微かに口元へ笑みを乗せ、頬杖をついた状態で軽く首を傾げてみせる。