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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



店へ入る前、道路を走っていた自動車を目にし、兄弟揃って目を丸くしていたが、やはり戦国時代の者からすれば、馬より速く走る自動車というものは未知の筆頭なのだろう。そういえば光秀も最初は同じように驚き、危険から遠ざけようと自分を背に庇ってくれたな、などと思い出しながら凪が微笑ましそうに笑った。

「あれはじどうしゃという絡繰りらしい。人が操るものらしいが、馬と同じで乗り手の采配ひとつにより大事(だいじ)にも繋がる。興味本位であまり近付かないようにする事だ」
「あのはこ、あぶないの?とき、こわい」
「馬の前へ不用意に飛び出さないようにする原理と同じという事ですね。分かりました、気を付けます」
「使い方次第では凄く便利なんだけど、決まりはちゃんと守らないとだからね。車……えーと自動車が通ってるのが道路って行って、あそこを渡る時とかは注意が必要だから、その時はちゃんとお手々繋ごっか」
「うん、おててつなぐ。あにうえもおてて、つないでね」
「分かってる。父上と母上に従います」

何処かへ向かうにしても、タクシーや電車、バスなどの公共交通機関を利用する事になるだろう。現代の知識が無い息子達にとって一番危険と思わしき問題が、交通ルールについてだ。取り分け車に関しては予めよく言い含めておく必要がある。光秀が教えてくれたそれに付け加える形で凪も二人へ注意を促すと、兄弟がしっかりと頷いた。

「じゃあ注文決めよっか!光秀さん、鴇くんと一緒に見てあげてください」
「分かった。鴇、好きなものを頼むといい」
「臣くんは私と一緒に見よ」
「はい。……これはしゃしん、ですか?」

ちなみに窓側に光鴇と光臣が向かい合わせで座っている為、光秀と凪はそれぞれ息子達の隣の席に着いている。二冊ある品書きの内、ひとつを光秀と光鴇の方へ渡した凪が、もう一冊を光臣に見えるように開いて置いた。独特な毛筆フォントを用いている品書きは表紙を開くと様々な料理や飲み物が写真つきで載っている。色鮮やかなそれ等を見て、光臣が驚いた様子で金色の眸を瞬かせた。

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