❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
「俺か、まあ初めて目にした時は驚かなかったと言えば嘘になるが……生憎とお前達の母以外に興味がなくてな」
「光秀さん、子供達の前で何言ってるんですか…!?」
「なるほど、でしたら納得です」
「臣くんも納得しないで…!!」
嬉しいが子供の前では相当恥ずかしい事を言われ、凪が思わず衝動的に突っ込んだ。けれども光臣が何処となく神妙な面持ちで頷くものだから、息子にもすかさず突っ込む羽目になった彼女が、薄っすら目元を紅く染めつつ肩を落とす。
(うう……他の女の人に一切興味ないって言ってくれるのは凄く嬉しいけど、子供達の前だと余計恥ずかしい……)
「ははうえもおかお、まっか。おでこぴたってしておねつ、はかる?」
「ううん、大丈夫。心配してくれてありがと、鴇くん……」
いつも自身がしてもらっている事を思い出し、光鴇が小さな手で自分の額に触れてみせた。純真無垢な幼子の物言いに癒やしを感じつつ、そっと首を振って丁重に遠慮した凪は、はあと深い溜息に羞恥やら色んな感情を絡めて吐き出し、改まった様子で光秀へ向き直る。
「とりあえず、いつまでもここに居る訳にもいかないですし、何処かお店に入りませんか?今日と明日泊まる宿も探さないとですし」
観光で和装をしている者や、元々着物姿で歩いている通行人達もちらほら見かける為、服装的な意味ではそこまで悪目立ちはしていない。だが、時折聞こえて来る女性達の黄色い声がすべて光秀に向けられている事に気付いていた凪が、その視線や好奇の眼差しから逃れる意味もあってそう提案した。子供達が居る所為か、所帯持ちだという様は明白であるとあってあからさまに声をかけて来る、果敢な肉食系女子は幸いにも居ないが、何処へ行っても女性達の感心を惹く端正過ぎる夫へ内心苦笑を零す。
(まあ気持ちは分かる……光秀さんって背高いし格好いいし色気あるし……いつの時代でも女の人にモテそうだもんね……)
そんな凪の内心に気付いているのか、光秀が彼女の提案へおもむろに頷いてみせた。