❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
以前ワームホールで現代に飛んだ折、予め互いに連絡先を交換している為、何か火急の用件があればすぐに報せる事が出来る。口元へ微かに笑みを浮かべて告げた佐助に向かい、凪もまた笑顔で礼を述べた。彼女の傍に立つ光秀もまた、かれこれ十年来の付き合いとなる相手へ目礼を贈る。
「御礼を言われる程の事じゃありません。じゃあ皆さん、家族旅行in五百年後、ゆっくり楽しんでください。また二日後、ここで会おう」
「佐助くんも久々の里帰り、楽しんでね…!」
「さすけいっちゃうの?またね…!」
「ああ、ではこれにてどろん」
ワームホールが開く二日後まで、佐助とは別行動になる。片手を軽く振って一気に人混みへと姿を紛れさせた友人を見送り、凪がいっそ感心した風に目を丸くする。
「凄い……佐助くん、もう見えなくなっちゃった」
「越後の龍お抱えの忍びの実力は、五百後の世でも健在という事だな」
「すごいにんにん!」
「凄いといえば……こちらの世の者達は随分と変わった格好をしているのですね……」
光秀が軽く肩を竦めて笑みを零すその傍らで、光臣が改めて周囲を物珍しそうに見回す。着流しに羽織姿の自分達とは明らかに異なる雰囲気に、色々と関心がある様子であった。そんな中、目の前を通りがかった若い女性二人組が膝上丈のスカートを穿いている様を目にし、顔を真っ赤に染め上げる。
「……!!」
びく、と肩を跳ねさせて顔を明後日の方向へ背けた様を前に、弟が不思議そうな様子で目を丸くした。きょとん、とした表情のまま光臣を見上げた幼子が、片袖をくいっと軽く引っ張る。
「あにうえ、おかおまっか、おねつある?」
「い、いや……大丈夫だ。その、気にしなくていい……」
まだ数え年五歳、現代で言うところの四歳である光鴇は、服装そのものへの珍しさはあれど、女性が脚を露出している云々についてはさして気にかからない。無垢な弟の眼差しに晒された兄が、何処となく気まずそうな調子でぼそぼそ告げると、光秀が可笑しそうに肩を小さく揺らした。