第6章 体育祭、それぞれの想い
ワアァァアァアァァ—―――――――ッ!!!
喜びも束の間。
観客の、会場の大歓声で我に返る。歓声に交じり「天喰はあがり症なのに」とか「今年は最終種目にいくんだな」とか「よく目立ってたな」とか、そんな声が聞こえた。
自分の顔色が、瞬く間に真っ青になっていくのがわかった。
「ご、拷問だ…ッ」
こんな大勢の観客に晒されるなんて、拷問以外の何物でもない…!
「天喰くんのおかげだよ…!」
猫柳さんは俺の首に両腕を回し(そのため俺も猫柳さんが落ちないよう、彼女の身体に腕を回し)至近距離で「天喰くん!本当にありがとうっ」と何度もお礼を言う。
「アザミー!やるじゃーん!」
「経営科の星だよー!!」
「猫柳、すげーじゃねーか!」
「へ…えへ、へ!」
猫柳さんはエールを送る経営科や友人に向かってピースサインを掲げていた。その笑顔が眩しくて、ヒーローみたいな笑顔だな、なんて頭の隅で思う。
俺なんて、この大勢をジャガイモと思い込もうと必死なのに…!!
大勢の観客と、猫柳さんとの距離に心臓が破裂しそうだ。ガチガチと異様に身体が震え、そして再びフリーズしそうになる。
「天喰くん、どうしよう」
「な、なな、なに」
「安心したら、力が抜けちゃって
腰抜かした、かも」
「え」
「あ、歩け、ない」
緊張が一気に抜けちゃってさ、と。なんてこと無いように話す猫柳さん。
「凄い歓声、で、今更。緊張しちゃっ、て」
あはは、情けないや私!と、困ったように笑う。猫柳さんはピースをして笑うから、大勢に注目される事も平気なのかと思ってしまった。
ああ、自分の震えで気づかなかった。猫柳さんも、こんなに震えていたなんて。
「アザミー!環ー!」
「ミリオ!波動さん…!」
「不思議!2人はどうして抱き合ってるの?」