第1章 4月
「食べてく?って聞きたいところだけど、ルナちゃんとマナちゃんが待ってるもんね。」
「いや、今日はおふくろ早く帰ってくる日だから。食べてってもいいか?」
「うん!…ん?」
「どうした?」
「いやー…なんでもない。」
嬉しさから思い切って誘ってしまったが…
しまった…場地帰ったんだった…。
いままで避け続けてきた二人きりの空間が、今訪れる。
でも、いつしか付き合うことができたら…と思っている以上、ずっと避け続けることはできないものだと言い聞かせた。
「どうぞ。」
「ついでに奥まで運ぶわ。」
「あっ、ありがとう。」
三ツ谷くんは玄関に置いた荷物を再度持ち直し、リビングまで運んでくれた。
衣類は自室へ、食料は冷蔵庫へと片付けていく。
「何作る?俺も手伝うよ。」
「うーん…。三ツ谷くんと二人で作るのもいいけど、今日は、私が作ったの食べてほしいな…、なんて。ダメかな?」
腕まくりをする三ツ谷くんに、私は正直な思いを話した。
きっと、三ツ谷くんとうまくやっていくには、素直に伝えた方がいい。
という、先ほどの教訓だ。
「わかった。そういうことなら頼むわ。」
「うん!座って待ってて。テレビ好きに見ていいから!」
「おー。」
三ツ谷くんはふっとほほ笑んでくれて、ソファへと体を沈めた。
ソファでスマホを取り出す様子を横目に、私は料理を始めた。