第1章 4月
想いが伝わってしまう不安より、このまま勘違いした三ツ谷くんに嫌われる方が嫌だー⋯
「三ツ谷くんと⋯二人で買い物は⋯ちょっと恥ずかしくて⋯。」
恐る恐る顔を上げると、三ツ谷くんは片手で口元を覆って私から視線をそらした。
「それっ⋯、ずりぃわ⋯」
「え?」
口元を覆っている手の隙間から三ツ谷くんの声が聞こえたが、何を言っているのかは聞こえなかった。
「なんでもねぇよ。」
顔を軽く横に振ると、ぽんっ、と私の頭に手を乗せる。
三ツ谷くんの手からは暖かい温度が伝わり、嫌われなくて良かった、と笑みが溢れた。
「もう一個いいか?」
「なに??」
「明日のお花見って、お前が弁当つくんの?」
「そうだよ!」
「ふーん⋯、」
もう一つ、三ツ谷くんからの質問に答えると、また雰囲気が変わってしまった。
「だめ⋯だった?」
「んー⋯いや、俺がダメとか決めらんねぇだろ。でも、お前の手料理は⋯マイキーより先に食べたかった。」
複雑そうな笑みと共に寄せられた解答に、舞い上がってしまう。
そんな理由で落ち込む三ツ谷がくんが、可愛くて仕方がない。
確かに、三ツ谷くんの手料理をいただいたことはあるが、私の手料理を元東卍メンバーにご馳走したことはなかった。
「そう思ってくれてるなんて⋯嬉しい。」
「〜っ、」
私が満面の笑みを浮かべると、三ツ谷くんはバツが悪そうに視線をそらした。