第1章 4月
「おいおい⋯すげぇな⋯」
少し怒った雰囲気だった三ツ谷くんも、私の家を見て圧倒されている様子だった。
私の家は、オートロック機能付きの高層マンション。
最上階⋯と言いたいところだけど、4階だ。
三ツ谷くんには何度か帰りに送ってもらっているが、近くまでにしてもらい、家の前まで来てもらったことはなかったため、今日が初見だった。
「去年からお父さんとお母さんが県外で仕事しなきゃいけないから、一人暮らしさせてもらってるんだ。それが、高校進学の時に引っ越した理由。」
「あー、なるほどな。」
テンキーを使ってロックを解除してマンション内に入ると
三ツ谷くんはアパートとは違った風景に、空いた口が塞がらないと言った様子だった。
エレベーターに乗り込み、部屋へと案内する。
「ありがとう、三ツ谷くん。ここに置いといてくれればあとは自分でできるから!」
「おう⋯。⋯⋯⋯なぁ、」
先に家に上がり、玄関に荷物を置いてもらえるように声をかけると、指定した場所に荷物をすべて置いてくれる。
そして少しの沈黙の後、俯きがちに声をかけてきた。
「ん?」
「⋯怒ってて⋯悪かった。俺じゃ役立たずだったのかって思ったら腹が立っちまって⋯。」
「あ⋯⋯⋯、」
思い当たる節があった。
(荷物持ち俺じゃダメだったの⋯?)
そういうことだったのか。
「私も⋯、ごめんなさい。⋯その⋯、」
「ん?」
恥ずかしかった、と言ったら気持ちがバレてしまうだろうか。
まだ、まだこの暖かい関係は壊したくない⋯。
そう思って言葉を選ぶ私の言葉を待ってくれる三ツ谷くん。