第1章 4月
「こんなに⋯何に使うんだよ」
両手いっぱいに荷物を抱える場地。
荷物持ちと自ら言った以上、その役目は果たさなければならなかった。
荷物は、場地の予想を超えた量だったようで、さすがの彼も、もう持てないと言うようだった。
「明日マイキーとお花見行くから、お弁当の材料の他に服とか鞄も買っちゃった!」
春物は結構使い古したものが多かったこともあり、買い替えた⋯それが場地が荷物を大量に持っている理由だった。
そんな場地とのやりとりを不服そうに見ていたのは三ツ谷くんだった。
「三ツ谷くん、買えないものでもあった?」
「いや、ねーよ。」
「なら良かった。そろそろ帰ろうか!」
流石に大量の荷物はバイクにはのせられない、ということで一台タクシーを捕まえた。
「二人共、付き合ってくれてありがとう!」
「おう。ペヤング一ヶ月分な」
「⋯一週間で。」
タクシーに荷物を詰め込むと、二人に挨拶をしてタクシーへと乗り込んだ。
今日、口数の少なかった三ツ谷くんも私に続いて車へと乗り込んだ。
「え、三ツ谷くん?」
「荷物部屋まで運ぶの大変だろ?」
「でも⋯自転車⋯」
「明日でいーよ。」
「あり⋯がと。」
「おう。」
一瞬驚いた顔をした場地は、何事もなかったかのようにじゃあな、と声をかけてバイクで走り去っていく。
私も行き先を告げると、タクシーは走り出す。
三ツ谷くんは両手をポケットに入れ、背もたれに体を預けている。そして、ずっと浮かない表情を浮かべて流れる景色をじっと見ていた。
その空間に、気まずさを覚えた。
私、何か怒らせるようなことしてしまっただろうか⋯