第10章 Betrayal
決戦までもうあまり時間がない
抗争を止めないという選択肢をとった以上、当然その日一日の勝負になるわけで…
…つまり、失敗は許されない
それを頭に置いて私は手を動かして準備を進める
ー稀咲なんて今はどうでもいい
どうでもいいは言い過ぎたかな…
昨日2人に言った言葉を思い出して少し反省する
確かに稀咲は東卍には必要ない
でも、私が東卍にいる限りアイツの思うようにはさせない
そして何より、今は稀咲の尻尾を掴むよりも大切なことがある
圭くんとカズくんの命
何を置いても最優先は彼ら
稀咲なんて後からいくらでもチャンスは巡ってくる
そして、今圭くんを連れ戻してしまったら、カズくんは一生こちらに戻っては来れない
…最後のチャンスなんだ
圭くんもそれがわかっているから帰ってこない
そもそも今回のミッションは圭くんの命を救うこと
稀咲じゃない
…タケミっち、完全にそれが抜けてたな…
…私にも譲れないものができた
そのためなら他の何を犠牲にしようと成し遂げる
例え犠牲にするものが未来を大きく変えるチャンスだったとしても、私は圭くんとカズくんの命だけは譲ることができない
もう2度と譲れないものがある
ヒナちゃんにそう言った彼なら、私の譲れないものを知った時、分かってくれるだろうか