第10章 Betrayal
『はぁ…』
かわいそうなことしたな…
家に帰るとそのままお風呂に入る
頭から熱いシャワーを浴びていると、2人の傷ついたような、頼りを失って絶望したような顔がすぐに脳裏に浮かぶ
ー伊織さん!!
ー伊織さん!どうして!!!
『…』
圭くんの真意を知らないと嘘をついた
でも、それ以外の言葉に嘘はない
キュッ
蛇口を占めて濡れた髪を纏める
毛先からぽたぽたと落ちる水滴をぼうっと眺め、湯船の中に浸かる
ー何もわかってない
あんな風に、突き放すような言い方、、、
…我ながら最低だな…2人は東卍のために頑張ってるのに
…2人に全てを話して納得させてもよかった
ただ、それは圭くんが望まない
圭くんはきっと、自分に何かあった時、千冬くんに迷惑をかけたくないんだ
千冬くんには東卍にいて欲しいんだ
だから彼も何も言わずに出て行った
それを私が無視して勝手に話す訳にはいかない
『ふぅ…』
白く曇る視界
立ち登る湯気は換気口に吸い込まれていく
『…タケミっち、私は止められないんじゃない、止めないんだよ』
立ち込める湯気でぼんやりとした輪郭のシャワー
それをなんとなく見つめながら、私はそう呟いた