第10章 Betrayal
「なっ…!!」
「どうして…!!!」
俺たちが思わずそう声を上げると、伊織さんはゆっくりと振り返った
『…何もわかってない』
「…ぇ」
『2人とも、何もわかってない。
そう言ったのよ。
千冬くん、貴方は圭くんの何を見てきたの?
タケミっち、東卍にいて貴方は一体私たちの何を知っているの?』
「っ!!!」
「っ!」
息を呑む
…肩が跳ねて冷や汗が滲む
目を細め、冷ややかに俺たちを見下ろす
その瞳には温度がなく、人を射殺せそうな刺すような目
いつも俺たちの前では基本的に微笑んでいて、集会の時は遠くを強い目で見据えていた
…伊織さんのこんな表情は初めてだ、
…声が出ない…
『圭くんが何を考えているか、そんなことはどうだっていい。
もうこの問題はそんな小さな話じゃないの。
そして…貴方達が首を突っ込めるような話でもない。』
「っ!小さな話って………場地さんが東卍抜けて稀咲を追ってるのが小さな話ですか…!?」
『そもそも稀咲なんて今はどうでもいいのよ』
「…は?」
何を言ってるんだ…
稀咲を東卍から離すことが目的じゃなかったのか…?
『あんな奴、私がいる限りどうにでもなる。
例えアイツが東卍に入り込んだ猛毒を持った蜘蛛だとしても、私がいる限り制御できる。』
「…それって、どういう、、」
『東卍は万次郎がいる限り負けない。
けんちゃんがいる限り堕ちない。
そして、私がいる限り乗っ取られることなんてあり得ない。
…そういうことよ。』
「っ!」
『…わかったら2人とも怪我治して決戦に備えなさい。
あとは万次郎の判断と私たちの指示を待っていればいい。
もう2度と私たちに意見しないで。』
「っ!待ってください!!」
再び背を向けた伊織さんの背中に声を上げる
伊織さんは止まって少し顔をこちらに向けると、冷たい目のまま俺の目を見る
…っ、、、目を逸らすな…!俺…!!!