第10章 Betrayal
『知らないわ』
「っ!伊織さん!!!」
『2人とも、万次郎のお兄さんの話聞いたでしょう?
圭くんが芭流覇羅に行ったのは芭流覇羅にカズくんがいるから。
元々彼はそっち側だったみたいね。』
「でも…!」
『稀咲を圭くんが探ってるという証拠はない。
ただし、万次郎のお兄さんの事件は事実。
…疑う余地はないわ。』
なんで…!!
なんでそんな嘘をつくんだ!
未来で言ってたじゃないか…!!!
「伊織さん…どうして、、、」
「…なんで隠すんですか。」
『…』
「なんで!貴方知ってるんでしょう!?
場地さんの考えてることも!マイキーくんが考えてることも!!
貴方が知らないはずがない!!
誰よりも東卍の人間を知っている貴方が!
…例え場地さんが裏切っていたとしても貴方なら止められたはずだ!!
幹部である場地さんの裏切りを許す訳もない!
なのに場地さんは今芭流覇羅にいる!
それは場地さんが本当は裏切ってないからじゃないんですか!?」
「千冬…」
息を切らしながら声を荒げる千冬
…伊織さんは眉ひとつ動かさない
伊織さんのその表情に千冬が顔を歪める
と、伊織さんはベンチから立ち上がると、そのまま俺たちに背を向けたまま数歩歩いた
『…じゃあ仮に、2人の言うように圭くんは稀咲を追っていて、それを私が知ってるとしよう。』
伊織さんはそのまままるで物語を語るように話し始める
『圭くんは裏切ってなんかない。
それどころか、彼は東卍のために1人で戦ってる。
稀咲鉄太という東卍に入り込んだ毒を抜くために。』
「…」
『そして、それに気がついた貴方たちも稀咲の真相を見た。
稀咲が悪だとわかった。
…だからもう圭くんが敵のフリをする必要はない。
芭流覇羅に居続ける目的もない。東卍に帰れば良い。』
そうだ
その通りだ
だから、俺たちは伊織さんに協力を頼んだ
伊織さんが反対する理由なんかひとつもないはずだ…!!
『そうだとしても、私は圭くんを連れ戻す気は無いわ』