第56章 ホグズミード村
しかし、ハロウィーンの前日、変身術の授業を終え、教室を出ようとした時に、マクゴナガル先生に声をかけられた。
「お待ちなさい、グローヴァー。まだ貴方から許可証をいただいてません。今日までに提出しなければ行けませんよ」
「えっと、あー…」
ミラは顔を強張らせた。
「…いただけなかったのですか?」
「それは…」
「ミラ、まだ出してなかったの?」と、ハリーが信じられないと言ったような顔で言った。
「君、サインもらったって言ってたじゃないか」
ハーマイオニーがロンを睨みつけたが、もう何もかも遅いとミラにはわかった。
「…出すの、忘れてたみたいです。すいません、あとで持ってきます」
ミラは曖昧な顔をして教室から出た。バレた。それもハリーの目の前で。
「ミラ、どうしてまだ許可証を出してないの?」
と、ハリーが慌ててミラの跡を追いかけてきた。
「出し忘れてただけ」
「嘘だ。僕のこと気にして出してなかったんだろ」
「あれは、----」
ミラは言葉が詰まった。あの許可証のサインは、ドラコの力を借りて手に入れたものだなんて、口が裂けても言えなかった。ハリーはミラの前に出ると、ミラは歩みを止めるしかなかった。後ろからロンとハーマイオニーが追いついた。
「僕のことは気にしないで。出さないと、君もホグズミードに行けなくなっちゃうよ」
「…ハリーがいないところに行ったって…私も残る。一緒に学校の秘密とか探そう?それもすごく楽しそうだし----」
「お願い。僕の分まで楽しんできて…お土産、いっぱい持ってきてくれるとすごく嬉しいな」
「ハリー、あれは…」
ハリーの悲しみを押し殺したような笑みを向けられたミラは、何も言えなくなった。何を言ってもハリーを傷つけるだけだと悟ってしまった。
「…うん、出すから、そんな顔しないでほしい」
その日、ミラが途中で捨てたり、燃やしたりしないか、ハリーに見張られながら、許可証をマクゴナガル先生の部屋に届けることになった。ハリーが本当はホグズミードに行きたがっているのを我慢しているのを、ミラは隣で静かに見てきたからこそ、マクゴナガル先生に許可証を渡した時、ズンと心に重しが乗ったような気がした。