第56章 ホグズミード村
「今日は機嫌がいいのね、ミラ」
と、談話室で『忘却術の歴史』を読んでいるミラに、ジニーが嬉しそうに話しかけてきた。ミラはパタンと本を閉じて、「そう?」と答えた。
「少し前は----トムのことでイラついてたでしょ?」
「…やっぱり、ジニーも気が付いてたんだ」
「最初は分からなかったわ」
ジニーはミラの空いている隣のソファーに腰掛けた。
「でも、当てはまる人がトムしかいないと思ったの」
「----もう終わったことなのに、しつこい奴さ。地面に張り付いたガムみたい」
「ええ、本当に」
二人は顔を合わせてクスクスと笑い合った。
「私心配だったの。継承者のことであなたを避けてる人たちがいること…」
「ああ、そんなこと」
ミラはフッと笑った。
「別にそんなこと気にしたことないよ。ジニーたちがいてくれたら、それ以上はいらないから」
「ミラ!」
ジニーはソファーから立ち上がると、一人がけのソファーに座っているミラの横に無理やり体をねじ込んで抱きついてきた。
「おやおや、何かの親睦会かい?」
「俺たちも入れてくれよ」
そこへ男子部屋から出てきた双子のフレッドよジョージが、ミラとジニーを見つけてやってきた。
「悪いけど、もう隙間はない」
「いいや、あるさ」
「そうそう。この肘おきにお尻の乗せて」
ぎゅむっと双子がミラとジニーを包み込むように抱きしめられた。