第56章 ホグズミード村
ネビルの両親の話を聞いてから、ミラは夜眠る前に考え込むようになってしまった。思い出すのはネビルの悲痛な顔と声が、どれだけ傷付いているかを物語っていた。どうしてネビルが祖母と暮らしているのか、何故今まで尋ねなかったのだろうと不思議に思った。
使うべきじゃない----頭では分かってはいるのに、ミス・メアリーを思い出すと、自分の心の奥深くにばで根付いた怒りと憎しみがそれを否定する。
『……ならないさ』
ミス・メアリーへの怒りが最高潮に達すると、ドラコの言葉が頭の中に浮かんだ。この時の自分は本当にどうにかしていた。どうしてドラコに自分が”闇の魔法使い”になってしまうのかと問いかけたのか。確かに、彼の父親は善人ではなさそうだけれど----あの時のドラコの言葉がスッと心に染みていく気がした。
「…ドラコ」
ハッとミラは緩みかけた自分の口元を手で押さえた。今自分はグリフィンドール寮の女子部屋にいるが、どこで誰が聞いているか分からない。ベッドのカーテンを引いて辺りを見回したが、みんな深い眠りについているようだった。ミラはホット胸を撫でおろすとベッドに戻った。
枕元がゴソゴソと動くと、シャーシャーと蛇の鳴き声が暗闇から聞こえた。
「ああ、エイン。起こしちゃった?」
ミラは暗闇の中、手探りでエインを探すとエインはスルスルとミラの手を見つけて巻きついてきた。ズッシリと腕に重みが増し、エインがこの夏どれだけ大きくなったのか思い出した。
「今年はノクチュアと仲良くできるかな?ヤキモチ妬かなかったらいいけど…」
エインはまたシューシューと音を出したが、何を言っているかさっぱり分からなかった。でも、嫌な感じはしなかった。
自分がグリフィンドール寮に似つかわしくなくても、ペットに蛇を飼っていても、心に復讐を抱こうとも、もうそこまで気分が落ち込むことはなかった。