第2章 柱
「今から行われる柱の就任式……柱の役割はよく理解してないけど、新たな柱に任命されるのは可愛らしい女の子。桃色と薄緑色の髪……金の髪に赫い毛先の柱の方の元教え子……ですよね?名前は甘露寺さんと煉獄さん……でしょうか。よければ柱の皆さんの名前も……」
的確にこれから行われること、その対象者や対象者の師範まで言い当てられてしまった実弥は重ねられていた手を風音の顔の前に翳して先を止めさせた。
「もう十分だァ……マジかよ。お前、お館様の親族なんてオチじゃねぇよなァ?」
お館様がどういった人物にあたる人なのかまで見てなかったのだろう、風音は首を傾げてキョトンとしている。
「それはないかと……そんな話はお父さんからもお母さんからも聞いたことがないし、何よりこの力はお母さんから受け継いだものなので」
聞きたいことは山ほどあるがのんびり聞いていられるほど時間に余裕はない。
どうするか考えあぐねた末、実弥は立ち上がって風音にも立ち上がるようにと手で指示を出した。
すると素直にキョトンとした表情のまま風音が立ち上がる。
「とりあえずお前、自分の部屋で大人しく待ってろォ。帰ってからゆっくり聞いてやる」
信じてもらえたのか信じてもらえなかったのか……今の実弥の言葉だけでは確信を持てなかったものの、力の一端を見せる前と後で特に実弥の自分に対する態度は変わらなかった。
それだけで風音は満足だと言わんばかりに笑顔で頷き……かけて願いを申し出た。
「すぐに戻るので街の中を見て回ってもいいですか?お薬……売ってるお店があったら見てみたいなって」
とんでもない力を持つ少女の願いは小さかった。
それにわざわざ反対する訳もなく実弥は頷いて許可を出すと、日輪刀を腰に差して廊下へ続く襖に手をかけた。
「ある程度見て回ったらこの宿に戻っとけ。俺もそこまで遅くならねぇだろうから、帰ったら飯にすんぞォ」
そう言い残した実弥は風音の返事を待つことなく部屋をあとにした。
「気味悪がられなくてよかったぁ!今日は素敵な1日になりそう!さて、私も街に出てお薬屋さん探さなくちゃ!」
実弥が出ていった襖から風音も廊下へと足を運び、意気揚々と街探索へと乗り出した。