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涼風の残響【鬼滅の刃】

第2章 柱


特に生活を送る上で風音の母親について知ることは急務ではないので、いつか話したくなれば本人から話すだろうと思い聞かないでいた。

しかしそれを知る機会は意外にも早く訪れた。

「不死川さん、少し……私の事について聞いてもらえますか?」

実弥にとっては早足、風音にとっては駆け足で息も絶え絶えに辿り着いた本日厄介になる宿屋で二部屋とった内の一室。

先ほどまで肩で息をして畳にご挨拶していた風音は、窓辺に座って外を眺めていた実弥の前に姿勢よく、真剣な眼差しを向けて正座をしている。

「あぁ?何だァ?改まってよォ……何の話しだ?」

自分に与えてもらった部屋に行こうとすらしない風音を咎めることなく好きにさせていたら、今度は改まって目の前で神妙な面持ちで佇む風音に首を傾げた。

その様子から聞いてもらえるのだと判断した風音は視線を一度畳に落とした後、意を決したように大きく深呼吸をして実弥を見つめ口を開いた。

「あ、あの……私に未来が見える力があると言ったら……信じてくれますか?」

突然の突拍子のない話に実弥は目を見開き息を飲んだ。
しかし目の前の少女からからかっている様子も嘘を言っている様子も感じ取れない。

しかもつい先ほど考えを巡らせていた風音の母親の力の核心に繋がる話しだ。一蹴することは出来ない。

「普通に考えりゃあ信じられねぇ話だがなァ。話を聞かされただけだと信じようにも信じれねェ」

(……未来が見えるだとォ?!お館様と同じような力じゃねぇか!)

平静を保っているように装っているが実弥は内心盛大に混乱している。

お館様と言うのは実弥たちが所属している鬼殺隊を束ねる、産屋敷家の当主に当たる人物である。
そのお館様が少し先を見る力があることは柱である皆が知るところだが、それと同じような力を持っていると聞かされれば動揺もするだろう。

そんな実弥の動揺など露知らず、風音は実弥の手に自分の手を重ね合わせて目を閉じた。

「……何を」

している?

と聞こうとした次の瞬間、風音の瞼が開き吸い込まれそうな程に透き通った翡翠色の瞳が実弥を映した。
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