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涼風の残響【鬼滅の刃】

第2章 柱


「そう……ですよね。ごめんなさい、言い難いこと言わせてしまって。あ、今更ですが……私の名前は柊木風音と申します!」

まだ涙の乾かない瞳に笑みをたたえ、風音は実弥を見上げて本当に今更ながらの自己紹介をした。

空元気だと嫌でも分かる笑顔だが、これが風音にとって崩れず自我を保つ手段なのだと思うと、今はそっと見守ることが最善手だと実弥は深く踏み込まないことにし、今し方紹介された名前を脳内で反芻させた。

(柊木……やっぱ聞いた事ねぇなァ。こいつの父親、柱じゃなかったのかァ?)

いくら考えたとて記憶にないものは解決しないので、瞬時に切り替えて風音の対応に意識を戻す。

「おぅ、知ってっと思うが俺は不死川実弥。これからよろしく頼むわ」

「はい!居候の身の上なので家事などは任せて下さい!村八分に加え五年くらい一人で生きてきたから、こう見えても生活力はあるんです!」

空元気の笑顔からキリリと自信満々な表情に変わったものの、会話の内容が内容なだけに笑えない。
実弥とて何となく村で風音がどのような扱いを受けていたか察していた。

それを敢えて口に出さなかったのは、ただでさえ傷心の少女を悲しませたくなかったからだ。

しかし今の風音の表情を見る限りそんな気遣いも不要だったのでは?と思うほどに、一切の曇りを映してはいない。

「……あぁ……いや、無理ない程度にやってくれりゃあいい。なぁ……村の奴らに思うところはねぇのかァ?村八分って笑えねぇだろォ」

実弥の質問に対し風音はいきなり

スンッ

と無表情となった。

特に哀愁や激昂は風音からは感じ取れない。

完全な無を未だに貫く風音に首を傾げると、それを瞳に映した少女はあどけない可愛らしい満面の笑顔となった。

「アハハッ!ごめんなさい!お母さんのことに関しては許せないし……腸が煮えくり返るような感情があります。でも村八分に対しては何も思ってなかったの。さっきみたいに表情を無くすと、気味悪がって不必要に接触してこない……つまり放っておいてくれるから私にとっては有難かったんだよ」
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