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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第26章 猫舌の君にはまだ早い《前編》◉天喰環



「ねぇねぇ!何で告白しないの?そんなにバレバレなのに!不思議!」

机に突っ伏した俺の周りを波動さんがぴょんぴょんと跳ねる、左右両方から聞こえる好奇心剥き出しの声に自身の内側が削がれていくようだ


「は、波動さん・・勘弁してくれないか・・」

「ホント容赦無いんだよね!」

あっはは!、思い切り明るい笑い声を響かせたミリオがぽんぽんと俺の肩を叩いて
俺の体なんてこのまま机に沈んでしまえばいいんだ、目の前の木目の数を数えながら震える拳を握りしめる


「ねぇ知ってる?もうすぐ卒業なんだよ?天喰くんは大阪で働くんだよね?もう会えなくなるから告白しないの?それって正解?」

「う゛う・・」

何という無垢な攻撃性、悪気の有る無しの次元じゃない・・、情けなくぼやける視界の中俺は諦めるように静かに目を閉じた


「通形もそう思うよね?バレバレだから薬師さんも天喰くんの気持ちは知ってるわけだけど」

「え゛」

閉じた瞼をこれでもかと見開いて飛び起きると、太陽のように力強く笑うミリオが思い切り親指を立てた


「バレて当然!環は顔に出すぎるんだよね!昨日も彼女がイジられてるの見たんだよね!」


告白以前に大迷惑じゃないか、俺なんかに好かれた挙句それをネタに恥をかかされているなんて・・!


「でも何にも言ってこないってことは、天喰くんのこと好きじゃないってことなのかな?気になるよね、ね?」

痛みで胃がぎゅるぎゅると鳴っている、お昼に食べた二人前の定食が出てしまいそうだ
ガタッと音を立てて椅子から立ち上がるとミリオが満足そうに頷いた


「謝罪に・・行ってくる・・」

「そこは告白の方がいいと思うの!」

「環、お前なら立派にやれるさ!当たって砕けろだ!」

しっかり砕けてるじゃないか・・、呟きよろよろと足を踏み出すと教室のドアに手をかけて
差し込んだ西陽が床をオレンジ色に染めている



「か、帰りたい・・」

大戦の影響もあり久方ぶりに訪れた図書室、個性伸ばしの役に立てばと通い詰めていた一、二年生の頃が懐かしい



そう、個性伸ばしに役立つと思ったんだ



それがいつの間にか、


力を込めて開いた重い扉、カーペットに落としたままの視線を恐る恐る上げ貸出カウンターを見遣ると
後輩らしき、初めて見る図書委員の男子生徒が俺を見て会釈をした
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