第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「そ、そんなはずない…だってお前は赤が嫌いって…」
「確かに赤は浮いて見えるから嫌いよ。でも付けないとは言ってないわ。」
「じゃあ何であの時見せなかったんだ?」
「だって赤は嫌いと言った手前、出すのが恥ずかしかったんだもの。ごめんなさいね?」
ふふっと笑えば、アオキの顔が険しくなる。
「…その口紅、もっと近くで見せてもらってもいいか?」
「ええ、構わないわよ」
「……はは、やっぱりな。これはシラユキの口紅だ」
「!」
「この程度で俺を欺けると思ったのか?」
「どうして口紅がシラユキのものだって断定できるのよ?」
「そりゃ口紅のメーカーを見ればすぐ──」
「え?」
「い、いや。カンだよ!カン!」
「(今、一瞬焦ったわね。どうして口紅がシラユキのものだと分かったのか…)」
私はメモ帳を話題に出す。
「もしかしてアオキ…化粧品に詳しいの?」
「そ、そんなわけあるか!」
「ふ〜ん…」
どう見てもアヤシイ
「あ!服にファンデーションついてる!」
「え、やだっ!」
「やだ?」
「やだ?」
「(や…やだ?)」
一か八かで嘘を言えば、アオキはオネエ言葉で自分の体を両手で抱きしめた。
「……ゴホン!口紅は消去法でシラユキだと思ったんだ。スミレはあんな口紅持ってないからな。スミレの口紅はわかるんだ」
「ミドリのかも知れないじゃない」
「ミドリはいつも口紅をしてないだろ」
「…私もたまにはするよ」
「(とびっきりハデなヤツをね。)」
「それを言うならクロサキのかもしれないじゃん」
「いや、クロサキは濃い色は付けない。決まってピンク系か薄いオレンジ系なんだよ」
「アオキ…何なのアンタ。そこまで詳しいとちょっと引くわ」
「ゴホン!とにかく、クロサキの部屋のグラスがシラユキのものだということは間違いない。お前はバルコニーでシラユキに会ったんだろう!」
「確かにシラユキには会ったわ。ただ、シラユキにはみんなの前で話せない相談があったの」
「なんだよ、もったいぶらずに早く言えって」
「(これは賭けよ…。言ってやるわ…アオキとシラユキのあの“カンケイ”について…!)」
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