第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
《会えないで〜♪会えないで〜♪狂える〜♪》
《君思うほど狂気感じて〜♪》
「(…この歌どこかで…?)」
「なに、アンタいたの」
「ええ。…その曲好きなの?」
「北野マナね。なに、アンタも好き?」
「私は神北マホちゃん派よ」
「神北マホ…ああ、あの“恋愛の神様”ね。つーか絶対、北野マナの方がいいし」
「でもアオキは北野マナ好きみたいよ?」
「…ハ?アンタなにバカなこと言ってるの?アオキが好きなわけないっつーの!!!」
スミレは叫んだ。
「アオキとあたしが共通で好きな歌手は、かっこよくてイカちぃーカクザイルだし」
「(カクザイル…たしか角材を肩に担ぎながら踊る、男性ユニットだ。)」
「倍率高くてやっとチケット取れたんだよねー!アオキとふたりでライブ行くのちょー楽しみ〜」
「…そんなことより、さっきからオーディオプレイヤーが止まってるけど?」
「……っあ、最悪だし…!!!ちょっとー…マジやめてよ、ろくな娯楽ないんだってのーも〜!!ねぇ、アンタ直せない?」
「ムチャ言うわね…」
「あっそ。じゃあ出てって」
「(このワガママ女…)」
怒りで引き攣る顔を堪え、部屋を出る。スミレはオーディオプレイヤーが壊れて困っている。そこで私は奴を利用しようと考えた。私はすぐにアオキの部屋を訪ねた。
「…またお前かよアオキかと思ったじゃねえかいい加減にしろ!」
「期待させて悪かったわね。ところでカナザワ、あんた機械に強い?」
「あ?機械?んなモン興味ねえよ」
「(見るからにそうよね。)」
この男の手先が器用に見えるかと聞かれたら、答えは絶対にNOだ。
「ならいいの。…実はスミレがね、オーディオプレイヤーを壊したみたいで…助けてくれたらお礼するって言ってたけど…あんたは機械ダメだしアカイにでも」
「……待て。」
カナザワが急に真面目な顔つきになった。
「今すげえ機械に興味出て来た。あとは俺が引き継ぐ。じゃ、留守番頼んだぜ」
カナザワは私の肩を叩いて走って行った。男の約束が聞いて呆れるわ。今のうちに部屋を物色させてもらうわよ…アオキ。
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