第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「…そうよ。たまにあるのよ。」
「じゃあ口紅見せろ」
「え?」
「お前が赤い口紅を持ってるって言うなら今ここで俺に出してみろ。そうしたら嘘か本当かが分かるだろ?」
「(そんなの…持ってるわけない。)」
咄嗟に誤魔化す方法も思いつかず、ただ額に汗がにじむ。
「カナザワとミドリにも教えてやらないとな…核心的な証拠ってやつをさ?」
「アオキ…まさかアンタ…」
「今日の会議で俺の名推理を披露する。今の内にサークル脱退の文書でも書いておけ。おっと、その前に自首の電話が先か?っははは。」
アオキは愉しげに笑い、部屋を出て行った。
「(このままじゃ確実に…今日の会議で私は終わる。)」
私は深く深呼吸をする。
「すぅー…はぁー…。いいわ…何も臆することなんてない。あそこまで馬鹿にされて黙ってられるもんですか」
グッと掌を握り締めた。
「さぁ、裏工作を始めましょう。」
◇◆◇
「(アオキは疑いを晴らすのに骨を折りそうだわ…昨日みたいに弱みを握って、アオキには黙ってもらうしかないわね。)」
裏工作【アオキを黙らせろ!】
「(でもアオキに秘密なんてあるの…?)」
悩んでいても仕方ない。まずは情報収集よ。私はすぐにアオキの部屋に向かった。
「あら…なんでアオキの部屋にカナザワがいるの?」
「あー?…あいつ、部屋を無人にしたくないつってよ、俺に留守番押しつけやがった…」
「(アオキは不在。部屋を見るチャンスね。)」
私は上手くカナザワを丸め込み、部屋から出て行ってもらうことにした。
「カナザワ、私が代わりに留守番しておくわよ」
「あー…お前はNGだ。」
「あら?どうして?」
「“クロサキが来たら追い出せ”そう言われてんだよ」
「(…アオキの奴考えたわね。これだから頭の回る奴は嫌なのよ…)」
舌打ちしたいのを何とか堪える。
「(でもカナザワのこの反応じゃ、アオキはまだ、私の証拠を話してないみたいね。)」
「つーワケで、出て行きな」
「(無理に代われと言っても不審がられるだけよね…またあとで出直しましょう。)」
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