第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
見られて困りものはないはず。シラユキのことはバルコニーですべて完結してるし、バルコニーに私のものは置いてきてないはずだ。
「(スミレが知ったら怒り狂うわ…)」
とりあえずアオキを連れ、部屋に戻る。
「……………」
アオキは私の部屋をじっと観察していた。シラユキの死体が発見された日も、ひとり現場を観察していた。
「ちょっと…あんまり女の子の部屋をジロジロ見ないでよ」
「不都合なことはないんだろ」
「…別に何もないわよ」
「…いや、だいぶ面白いもんが見つかったからさ、見入ってたよ」
そう言ってアオキは…空のグラスを私に見せつけた。私がバルコニーに持って行った時のグラスだ。シラユキを突き落とした後、当然部屋に持ち帰った。
「…それね、飲み会をした日、酔い覚ましに水を飲んだのよ」
するとアオキは何故かクスクスと笑い出した。
「見ろ、グラスのフチに口紅がついてる。…これはシラユキのだ」
「口紅…?」
確かにグラスを持ち帰った。ただそれは私のじゃなくて、シラユキが使っていた方のグラス…
「バルコニーにも同じグラスがあったよ。…別の口紅がついたグラスがな」
「何も変じゃないでしょ。それは私のよ。口紅だって…」
「あの日、お前がつけていた口紅の色…覚えてるか?」
「……………」
「このグラスについてる口紅の色は赤。バルコニーにあったグラスについてた口紅の色はピンク。確かあの日お前…ピンクの口紅つけてただろ?」
「!!」
「それでこのグラスはシラユキのだ」
「そ…そんなの…見間違いじゃないの?本当は逆だったかも知れないじゃない」
「お前、ずっと前に俺に言ってただろ。赤い口紅は気合いが入ってるみたいで嫌だって」
「(確かに言った。赤い色は浮いて見えて好きじゃない。だからピンク系や薄いオレンジ系が好き。アオキ…余計なことを覚えてたわね。)」
「それに今お前がつけてる口紅の色…ピンクだろ。旅行中はずっとその色しか見てない」
「……………」
「どうしてシラユキのグラスが、お前の部屋にあるんだろうな…?」
「取り間違えたのよ…」
「こんなにハッキリした赤色なのにか?」
.