第14章 蜂蜜
ー研磨sideー
穂波がかわいい。
…かわいすぎる。
おれが買ったワンピース着てる。
…前に銀座で、おれが穂波に着てほしくて、買いたくて買ったやつ。
リネンのワンピースで線が綺麗だけど、
袖と裾は少しふんわりしてて、穂波の動きに合わせて布が泳ぐのがまた綺麗。
穂波の良さを引き立てるみたいなワンピース。
前から見た感じわりとおしとやかだけど、背中は結構空いてて、でも健康的でいやらしくなくて。
…って背中は今ここから見えないけど、そんなのわかってるってやつ。
耳にも首にも手首にも、おれが渡したアクセサリーがついてて、
ワンピースもおれが渡したやつで、
別にそんなんじゃなくても過不足なんてないんだけどでも。
どこか満たされる、とこがあるのは否めない。
所有欲?独占欲?支配欲?
わかんないけど、おれのって感じ。
ディナーは一つのコースのみだからいろいろとラクだ。
それに本当に美味しい。
店の雰囲気も、本当誰でもこれる感じがある。
カリフォルニアの旬の食材を使った料理を出す店で、
いろいろはわかるけど、なんか言葉にすればするほどおれじゃない感じあるから言わない。
とにかく美味しくて、穂波が喜んでて、穂波がかわいい。それだけ。
『…んんん おいしいね、すっごくおいしい』
「…うん、うまい」
『うん、幸せ… 研磨くんは今日はどんな日だった? お兄ちゃんとどこかに行ったの?』
「うん、ジェシーって人の店の店番の付き合いみたいな」
『あはは、完全にローカルの過ごし方に付き合わされてる』
「うん… でも居心地よかった」
『うん、気のいい人がたくさんだから、気がラクだよね』
「うん」
それはそうなんだけどそれは、ここが、とかじゃなくて。
穂波がどういう意味で言ったのかはわからないけど、
おれにとっては穂波の周りが、だ。
だからアキくんの周りにも、っていう連鎖みたいなやつ。
そこでどうしても合わない人もいるんだろうけど、
不思議と接点がないようにできてるのかもしれない、とか。