第14章 蜂蜜
ー研磨sideー
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「研磨の眼差しが尊い」
「……」
「穂波に向ける研磨の眼差しが尊すぎる」
「…アキくんもういいから」
「え、何どういうこと?離れてたから逆に愛が深まるみたいな?本当にあるんだ?」
「カズマやめて」
愛とかやめてほしい。
それは数年前のそういうのとは違って、
穂波に出会ってから自分の中に確かにそれが存在してることが分かるから。
見て見ぬふりなんてできないほどで、
だからいつか穂波に言葉にして伝えたいこともあったりする。 …いつか。
だからこそ、余計にこうして言われるとむずがゆい。
「研磨明日の予定は?」
「株とゲーム」
「いそがしい感じ?」
「ううん、チャートチェックできればいい。
ゲームはこっちいる間の大会にもエントリーしてるけど明日じゃないし、
別に、そんな、準備しなくてもいけると思う」
「じゃーちょっと付き合ってくんない?
バークレーに17時にいればいい?」
『え?あ、うん。17時過ぎに』
「…じゃあ、そうする。アキくんはいつまでこっち?」
「木曜」
「オーストラリア?」
「yep。 ねぇ、それにしても研磨ちょっと、穂波のこと見る目が甘すぎるんですけど」
「だからアキくん、もうそれいいから」
「よくねーわ、おれの可愛い妹なんだぞ」
「何それいきなり。しょうがないじゃん、かわいいんだから」
尋常じゃなく可愛いんだから仕方ない。
何しててもかわいい。
明日のだろうか、キッチンで仕込みをしてるだけなのに、かわいくて仕方ない。
「ちょっと研磨、そういう惚気やめて」
「惚気てないし」
「ていうかゲームしようよ、あの部屋みた?もうやった?」
「みたし、ヤった…ない」
「やったない?」
「やってない」
ゲームも何もせず、
セックスと睡眠と食事だけしてたとか。
三大欲求、生理的欲求だけで満たされてた今日という日をしみじみ振り返る。
今日しかできないことだったと思う。
家の状況とかだけじゃなくて、なんていうか、お互いの空気感とかなんか。
だからこそ、良かったなとか思う。
腰は痛いけど。