第14章 蜂蜜
ー穂波sideー
……どうしてこうなった。
あれからお皿を洗って、
部屋に戻ってベッドの上でだらだらと一緒に映画を観るはずだった。
ううん、途中までは観てた。
でも途中からどうも、まだ足りないのか、お互いの身体を求めてしまって。
今、16:50。
ずっと、シてた。
多分、2、30分前まで。
それから流石のハードな運動に、シャワーも浴びずに2人で泥のように眠りに落ちて。
今、お兄ちゃんとカズくんの帰ってきた音で、目が覚めたのだ。
なんでだろう、日がな一日エッチをしていたことへの、
罪悪感?背徳感?わからないけど、
いきなりぶわぁと湧いてくるっていうか、
どこかから入り込んできて、なぜか焦ってる自分がいる。
「…ふは 笑 なんでそんな慌てた顔してるの」
『…なんでだろう』
「良いじゃん別に今までずっと我慢してたんだから。明日はちゃんと自分のことするんだから」
『うん、わかってる。 でもたまにこういうのあるの』
「…こういうの?」
『無い物ねだりの焦りみたいな』
「無い物ねだりの焦り?」
『本当は全然焦ってないのに、ちょっと慌てとくか?みたいなスイッチ』
「…あぁ、うん。想像はつくかも」
『…うん。まぁ慌てたとこでコメディにしかならないから落ち着いて服着てシャワーに行けば良いよね』
「うん 笑 別に穂波の実家では何度も、」
『ひゃあ、今そういうこと言われると途端に恥ずかしくなるの』
「ふ 笑 それもないものねだり?」
『…これは多分、そういうんじゃない』
「ん、知ってる」
研磨くんはわたしの様子を落ち着いて、でも愉快そうに口元を緩めながら見守ってくれてる。
その目が、これほどだったっけ?というくらいに優しくって。
今まで通り、綺麗であまり温度のない眼差しなのは変わりないのだけど、
でもそれでも、すごく優しい。今まで以上に、それを感じる。
その目を見ただけで、あぁ、わたし、大事にされてる…ってなって満たされるような、そんな眼差し。