第12章 Hi!
ー治sideー
「治くん、タクシー代出すからちょっと飲んでかない?」
2つの個人経営の店を掛け持ちでバイトしてる。
そのうちの一つの店は大体夕方から入ってて。
ほんで店閉めて12時から1時くらいの間に原付きでいつも帰るんやけど。
明日は一日オフなん知っててやろか、オーナーが声かけてくれた。
……なんや、穂波ちゃんのこと思い出しとったし、
このまま帰らんと、ちょっと飲むんはたしかに気分ではある。
酒も半端なんおいてないし……って、
「いや俺、未成年なんで」
「ははっ、知ってる。
高校卒業した子が酒出す店でバイトしたら普通に飲むものかと思ってたけど、
治くん意外とその辺堅いよね。 …アルコール抜きで、なんかつまんでかない?
飲まないにしてもタクシー代は出すからさ」
「…じゃあ、お言葉に甘えて」
なんやろ、ケンさん、なんか話したい気分なんやろか。
店が暇だった日に、試食兼ねてって早上がりさせるんとちゃうくて、
時給発生させながらなんかつまませてくれたりとかはあったけど。
まかないとは別でな。
こんな風に忙しかった日にも、片付けた後一杯的な感じで乾杯とか。
俺はクランベリージュースとか炭酸水とかでな、
そういうんはあったけど普通に原付で帰ったし。
タクシー代出すから、なんてがっつり引き止められたん初めてや。
「荷物とっておいで。何食いたい?」
「そーっすね… なんでもいいんすか?」
「できるものなら、なんでも。 …あ、おにぎり以外で 笑」
「……たこ焼きか餃子食いたいっす」
「たこ焼きか餃子か 笑」
「無理っすよね、準備なしにさっと作る系ちゃうし」
「…いいよ、それをさっとやってみるのもおもしろいじゃん?」
「マジすか…」
「マジっす、そこ行くまでのアテはこっちで勝手にやってもいい?」
「当たり前やないすか。 ていうか俺も一緒に……」
「横立ちたくなるよね 笑 気持ちはわかる。
でもまぁとりあえず着替えて荷物持っておいで」
「…うす、ほんならちょっと」
荷物とってこよ。
他にもう一人おるバイトの人は電車やから終電に間に合うように片付けの途中で帰ったから、
ケンさんと二人でサシ飲みや。 飲まんけど。