第12章 Hi!
『…触ってもいい?』
「うん」
指でそっと、聖臣くんのホクロをなぞる。
はぅぅ… なんて色っぽいホクロなんだろう
それからこの肌質。
きめ細かくてしっとりしてて、でも同時にさらっともしてる、
陶器みたいな綺麗な綺麗な、肌。
『…ん、やっぱ聖臣くんのホクロはすごいね』
「……俺も触ってもいい?」
『…ん?いいけど、どこに?』
ここ、って聖臣くんはマスクの中で小さく呟いて、
わたしの唇をぷにってした。
それからすって、マスクをずらすと、
唇に触れてた指を顎にずらしてくいってして…
ちゅ。
…ちゅ?
「っだぁぁぁーーー!!おみくん何やってんねん!マジで頭いかれてんとちゃう!?」
「うっわ、やられた。こんな人前で、彼氏もおるんにようやったな」
「きききき…聖臣!!!なにやってんの!!! あっ研磨くっ 研磨くんごめっ」
「おみおみーーーーー!!! 何今の小慣れたちゅー!
外国人みたいだったー!!!俺にも教えてーーー!!」
「…ん、終わり。 …今は」
『きっ 聖臣くくく……っ』
聖臣くんは何食わぬ顔でマスクを戻していて、
一層今この場が何が何なんだかわからなくなっていく。
「穂波、こっち」
『あ、研磨くん』
「…ふ、はい、ここ、ちょうだい」
気付いたら研磨くんがわたしの隣にいて、その声にすとんっと落ち着きが取り戻されるのが分かった。
それから研磨くんは自分の唇を人差し指でつんつんしてそんなことを言った。
飄々と、淡々と、ものすごい破壊力で。
『…ん、』
ちゅ って軽く、唇に落とすキス。
この、軽いキスがすきなんだ。
どんなキスも研磨くんとのキスは大好きだけど、またちょっと違って。
わたしは研磨くんにこの、軽いキスをどこでもしてしまう。
下駄箱でも、改札前でも、玄関でも、公園でも。
今までたくさん、してきた。
恋人にLove youって言うみたいな、
別れ際にsee youって言うみたいな、
いわば、hi!って挨拶するくらい軽さのあるキス。