第12章 Hi!
「クッソ、何でぼっくんやねん」
「ほんまやで、俺ら揃ってるのにな」
「…木兎の唾が、穂波ちゃんの髪に飛ぶ」
光太郎くんにそのまま抱き上げられて、
わーわーきゃーきゃーとひとしきり戯れあってやっと、周りの声が耳に入る。
意識が周りに向かう。
さっき見た目の前にあった景色が脳内に再生される。
「はっはっはー!一番ハグもーらいー!」
「うっさいわ、一番ハグってなんやし」
「一番ハグは毎朝研磨くんがかっさらってるやろ」
「それとこれとは違うでしょーが!研磨くんは入れちゃだーめー」
「ほいほい、ぼっくんいい加減その手離してや」
光太郎くんはしょうがないなぁと呟きながら身体をそっと離して
声のする方へわたしの身体をくるりと回した。
『侑くん、治くん、聖臣くんっ!』
何が何だかわからない、舞い上がりっぱなしの心地で、
ばっと広げられた腕にまた、飛び込んだ。
「いっや、臣くん今の何!」
「すかさず腕広げたな」
「ぶっひゃ…やっぱ穂波ちゃんといる聖臣はおもしろいな〜」
「勝った試合後のハグどころかハイタッチもしてくれんのに、
帰宅後まだ手洗ってない穂波ちゃんとハグしてるんなんやねん」
「あっれ!俺、おみおみと間接ハグしちゃったかも!」
ばっと広げられた腕はそう、久しぶりに会う聖臣くんのもので。
迷わず飛び込んだ。 聖臣くんの腕の中ってね…… すんごい安心するんだよ。
声を大にして伝えたいけど、みんなが冗談で聖臣くんにハグをせがんだら迷惑だろうからやめておいた。
「…久しぶり」
『ん、聖臣くん、また大きくなったね』
「………」
『んんん〜 聖臣くん、ちょっと屈んで?』
「…ん、」
聖臣くんの肌質とほくろが大好きで。
もっと近くで見たいって思って。
そうお願いしてみれば、聖臣くんはいやな顔一つせず腰をかがめて顔を近づけてくれた。