第12章 Hi!
「じゃーんもなにも、画面ちっさ」
「なっ! ちょっと岩ちゃん! 何この小生意気なガキは!」
「まぁ実際お前ちっさいぞ」
「なんで携帯なのさ!こっちはわざわざiPadでかけなおしたってのに!」
「…いや喧嘩なら向こうでやってようるさいな」
「カズマてめーな!」
「カズマっていうのか!なんで君が穂波ちゃんと寝るのさ!
もしかして穂波ちゃんの彼氏って… えっショタなの!?
いやでも、烏野に彼氏がいるんじゃなかったの!?」
「…ショタって何。 よくわかんないけど、この人嫌い」
「及川さんですー! もーいいや、そんなことより穂波ちゃん!」
『んふっ 及川さーん、こんにちは? 日本ですか?』
「いやここもこんばんはだよ」
『へっ そうなんだ… どこかな、近く?』
「アルゼンチンだよ」
『えっ!アルゼンチン! ひゃー近い、日本よりずっと近い♡』
「そうだね、でもどうして俺より先に岩ちゃんが君と再会するのさ」
『ふふっ すごいね、今日オレンジを拾ってくれたの』
「オレンジ? 何それ岩ちゃん、俺聞いてないよそんなドラマチックな出会い!」
「いやお前が思ってるような感じじゃねーぞ」
「オレンジを渡す時に手が触れて、とかじゃないから」
「危うく流血騒ぎだったからな」
「なんかよくわかんないけど、でもカリフォルニアで会うなんて妬けちゃうな」
『アルゼンチンかぁ… え、もっと話聞きたい。聞きたいけど…』
「ほら、邪魔だってよ。切るぞ」
「え!岩ちゃんひど!いきなり!」
『えっ、いきなり!笑 でもきっと、会いましょうね、この地球のどこかで♡』
「そうだね、その時はお茶でもしようって約束だったね。 じゃあ、ま…」
充電が切れたみたいで、ぶちって通話が終了して。
及川さんってあんなにかっこいいのにどうしてこんなに面白いんだろうって、
その絶妙ないろいろに、3人で笑いこけてしまった。
きっとアルゼンチンの家で一人か、ルームメイトがいるかはわからないけど、
いきなり切れた通話に対して、わーわー言ってるんだろうなと想像すると可笑しくて。
憎い要素なんてひとつもないけど、
でも、憎めない人、という言葉がしっくりくる人だなぁって思った。