第12章 Hi!
「…は? なんでその呼びか…… え?あ?もしかして白鳥沢と烏野の試合で……」
『そうです、一昨年の、代表決定戦?だったかな、仙台市体育館で。
及川さんが話しかけてくれた時ににちらっと、岩ちゃんさん… すみません、お名前存じ上げなくて』
「まじか… すっげーな、こんなことあんだな…
俺は岩泉一。 そっちは……」
『運天穂波です』
「穂波… さ、 ちゃ… さ…」
『呼び捨てでも、なんでも呼びやすいように』
岩ちゃんさんは、不器用そうにあからさまに敬称に悩んでいて。
心がくすぐられる。
「じゃあ、穂波…ちゃん?」
『んふ、じゃあわたしは…』
岩ちゃんさんって覚えてたし、岩ちゃんって呼びたくなるけど、
それは及川さんの特権な気がして…
『一くんでもいいかな』
「お、おぉ… 岩泉さんじゃねーんだな」
『あ、ごめんなさい、それが良かったらそうする』
「いや、全然。でも俺結構怖がられたりしてんのか、女子からさん付けばっかだから」
『一くんがいいよって言ってくれるなら、一くんって呼ぶ』
「…お、おぅ」
「…はぁー 何この会話聞いてなきゃダメ?
二人が話し込んでるからおれのとこにみんなオレンジ持ってくるんだけど」
カズくんがあからさまに大きなため息をついて、
うんざりって顔してオレンジを抱えてる。
『あ、ごめんカズくん。ありがとう。カズくん、かっこよかった。本当に。
呑気にそんなこと考えちゃうくらい… かっこよかった』
「…ん、ちゃんとみてたんだ。目、瞑らなかったの」
『うん、瞑れなかった。もしかしたら大変なこと起きたかもしれないのに、目を離せなかった。
やっぱカズくんは上手いだけじゃない何かがすごいんだよ。
そんなのずっと分かってたけど、やっぱすごい。かっこいいんだ』
「…ん、じゃあ今日は一緒に寝よ」
『へ?いいよ?』
「…いいんだ、なんかフクザツ」
『…?』
「…んっんー ゴホンッ いやいや俺こそこれ聞いてなきゃダメなのか?
なんかすげーツッコミどころあるし、聞きたいこともあんだけど……
そもそも2人はなんでアメリカいるんだ? っていうかカズ? お前はいくつ……」