第12章 Hi!
菖蒲田浜で穂波と待ち合わせた。
東京から寄り道をしながらおばあさんの家に向かう前に。
ジープのラングラーに乗ってやってきた。
一緒に乗ってければいいんだけど、と悔しそうに言ってたけど、
ラングラーは車中泊仕様になってて後ろは一面マットになってるから無理で。
俺は父さんの車を借りて待ち合わせた。
助手席には、研磨くんがいて。
だから、まぁ二人きりで会ったわけじゃないんだけど。
でもその時間は今思い出しても、とても有意義な時間だった。
──「…はじめまして。白布です」
「…孤爪 …研磨。 よろしく」
「そっか、タメだし別に敬語で喋ることないか。よろしく」
五色ならここで手を差し出して握手をするんだろう。
牛島さんもするだろうな。
でも俺も、研磨くんもそういう感じじゃないし。
言うことだけ言って…
『…んふ、特にわたしからの紹介はいらないよね?
だって2人ともに2人のことはいっぱい話してるもん』
穂波に任せればいい。
仕切り役を、とかじゃなくて、なんかもう、
こいつの持つ見えない流れみたいな、渦みたいなものに。
研磨くんとそれは同じ考えなんだろうなというのは、一瞬でわかった。
『白布くんと海だ♡ 出会って以来♡』
「だな、来れてよかったわ。 研磨くんもサーフィンすんの?」
「ん、まだ今日で3回目。軽く、やる」
「へー… スケボーは?」
「まぁ、ぼちぼち…」
「ふーん」
ぼちぼちとか軽くとか言って、サラッとできそうな感じすごいあるな。
「…白布クンは?」
「俺はどっちも初めて。怪我しない程度にやれたらいいんだけど」
「ん、」
思いの外、しゃべりやすいと思った。
天童さんからしたら喋ってるの内に入らないかもしれないけど、
俺には十分だ。言葉の量に関しては牛島さんとに似てる。今のところ。
仕組みとか、脳内の動きとかは全然違いそうだけど、
天童さんに比べたら2人とも、わかりやすい。
…天童さんと比べたら、大体の人間は、わかりやすい気がするけど。