第12章 Hi!
ー穂波sideー
『そろそろ寝るかな?』
「ん、穂波も?」
『うん、ちょっと身体伸ばして、寝る』
「カズマは?」
『ソファでゲームしてる』
「…ん、じゃあおれは先に寝るね」
『うん、おやすみ研磨くん。だいすき』
「ん、おやすみ」
だいすきと言ったら絶対に好きが返ってくるわけでもない。
それが、また良いんだ。
言わせちゃってる感じがなくて、研磨くんのままで。
でも、勝手に、電話を通して声以外のものもキャッチしてる。
研磨くんはわたしのことがすきってこと、一つも不安にならない。
だから何度でも言っちゃう、研磨くん、だいすき。
明日はカズくんとスケボーデートだ。
仕事ではなく、デートとしてのスケボー。
カリフォルニアはいっぱいスケートパークがある。
そもそもパークじゃなくてストリートでやってても全然オーライな文化なのだけど、
明日はvansのスケートパークに行こっかって。気軽に。
おいしいもの食べて、ビーチも散歩して、過ごそうねって話してる。
カズくんは今日の打ち合わせと顔合わせみたいなので疲れて不機嫌だけど、
わたしと出かけるってだけで機嫌が保てるんだからかわいい。
あと数日で大学も始まる。
バイトも始めたい。
アンテナ張って、世界に目を開いて。
そうやって充実した毎日を過ごしていれば、
いつもいつもは充実せずともその心持ちさえ忘れなければ。
きっと、研磨くんに会える日なんてあっという間にやってくる。
じっと待つのは長くても、
ゆらゆら待つのは心地いい。
そもそも、ただじっと待つつもりも予定もお互いにないんだもん。
それがまた、わたしと研磨くんのかっちりハマるところなんだと思ってる。