第12章 Hi!
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それから若利くんはわたしのラップサンドの半分も食べてくれて、
その頃にはベーカリーはもう閉店して。
仕事終わりのレジのお姉さんにバイバーイとかしたりして。
ぷらぷらと歩きながら、ぽつぽつと話をした。
バレーを始めたきっかけとか、左利きをそのままにしてくれたのはお父さんだったとか、
お母さんが良家の娘さんであることとか(良家、だなんて若利くんは言わないけれど)、
わたしも左利きだよ、とか、大学はアーバインじゃないんだーとか、お兄ちゃんの家があってね、とか。
わたしのする話と若利くんのする話の密度が違いすぎて馬鹿丸出しだなーとか思いながら、
若利くんがずばずばと歯に絹着せない感じで質問を疑問を投げかけてくれるので、
お互いに結構、色んな話ができた。
『そこがホテルかな? じゃあわたしそこのバスストップからバス乗ろうかな』
「そうか… 明日は会えないのか?」
『明日? 明日はね、うん、用事があるんだ。
あ、でも若利くんこっちいいるうちにもう一回くらい会えたら良いな。
親子の時間の邪魔じゃなければ、空井さんもご一緒に夕飯とか…』
「いいな」
『ね! じゃあ… LINE? メール? 何が良いかな』
それからLINEを交換して、
バス乗れるから良いよって言ってもバスが来るまで一緒に待ってくれて。
その間に、白布くんに送ろ!って思って、あまりしない自撮りってやつをした。
バスが見えると、どうしてもこうしても抱きつきたくって、ハグしても良い?って聞いた。
良いよって(あぁ。って)言ってくれて、思い切りダイブするみたいに飛び込んだ。
大きくてあったかくて、大地みたいな人だった。
圧倒的強者、みたいな存在感があるけど…、
若利くんの魅力はもっともっと他にもある。
たくさんの人に知ってもらいたいって、まだよく知りもしないわたしが思うんだから。
白布くんの気持ちを考えると、すぐにキャパオーバーになった。
わたしと白布くんでは、視点が結構違う気もするけれど。