第10章 ゴミ捨て場の決戦!
だんだんと人気がなくなる
この先には非常階段しかないはず
こんな場所にいるはずない
そんな希望的観測も虚しく、何やら話し声が聞こえてきて
僕は息を殺しながらそっと声のする方に近づいていった
「ふふ…安心しなよ、こんなとこで何もしないって…あ、それとも期待した?」
と黒尾さんの声
周りに誰もいないせいで、会話が鮮明に聞こえてくる
「そんな顔してちゃダメだよ、煽ってんの?」
「…ちが…」
そんな顔ってどんな顔なの
2人に見つからないように覗き込んだ僕の瞳に映ったのは
黒尾さんに壁に押しつけられながら、ジャージのファスナーを下げられてる歩の姿だった
彼女はハァハァと肩で息をしながら、瞳を潤ませ頬を紅潮させている
「歩ちゃんはかぐや姫みたいだね」
そう言って黒尾さんは歩の首元に光るネックレスに人差し指をひっかける
「突然俺たちの目の前に現れて、どうやったら君に振り向いてもらえるかってみんなが必死になってさ…
で、散々俺たちのこと振り回して、結局月に帰ってく」
ネックレスを指に引っ掛けたまま、息がかかるほど歩の近くで黒尾さんが話している
見たくない
もうこれ以上何も
「ねぇかぐや姫ってさ、願い通りのものを用意できたやつがいたらどうしたと思う?…そいつのものになったのかな?」
「…知りません」
「俺はさ、ちゃーんと歩ちゃんの願い叶えたよね?ツッキーに俺みたいなプレーヤーになって欲しかったんでしょ?お望み通り、ちゃーんとご指導してあげたんだから…
ご褒美ちょうだいよ」
「…そ…れは、合宿の時にみんなの前で連絡先聞いて、チャラになったんじゃないんですか?」
彼女は辛うじて小さな声でそう反論した
「バレた?」
突然黒尾さんは軽いトーンで言いながら、壁についた手を離す
「でもさぁ
好きでもない男に言い寄られてそーんな顔してるようじゃ…
先が思いやられるね、ねぇツッキー?そこにいるんでしょ?」
ドキッ
心臓が口から飛び出るかと思った
黒尾さんはずっと僕がいるって知ってた
分かっててずっと…