第10章 ゴミ捨て場の決戦!
ー歩side
初めて見るツッキーの満面の笑みに、胸がギュウと締め付けられる
みんなの研ぎ澄まされたプレーに、次から次から涙が溢れてくるけど
少しだって見逃したくないから両手で涙を拭いながら、必死でコートに目を凝らす
山口くんのサーブ
いい感じ、山本さんに膝をつかせた
それを確認したツッキーは山本さんの攻撃の可能性を捨てて、黒尾さんの前に跳び上がる
「ワンチ!」
ツッキーが触れたボールを影山君がセットした
この終盤でこの高さ…
思わず息を呑む
僅かに上振れしたトスは、ツッキーの爪先を掠ってそのまま運良く音駒コートに転がる
山口くんがツッキーに駆け寄ってハイタッチをした
もう一本山口くんのサーブ
でもここはさすがの音駒、黒尾さんに決められブレイクとはいかない
勝って欲しい
早く
嘘、終わらないで
感情がグチャグチャになる
いつまでもこの試合を見続けていたいと思う
影山君からの白帯スレスレのサーブ
音駒は返すだけになってそのまま烏野コートにボールが返ってきた
翔陽が放ったスパイクを研磨さんが超近距離レシーブする
福永さんが繋いで、研磨さんは翔陽に取らせるように返球
翔陽はなんとか拾ったけれど、体勢が整ってないところに研磨さんはわざとボールを叩き落とす
うまい…
てかこれバレーボールやんな?
命のやりとりをしてるぐらい空気がヒリつく
こんな風にスポーツを出来るライバルと巡り会えることはきっとそう多くない
北斗の拳的に言えば、強敵と書いて"とも"ってヤツ
ああ、眩しいなぁ…
東峰さんの強打がブロックを吹き飛ばす
でもそれをギャラリーに飛び込みながら福永さんが繋いだ
ネット際
跳び上がる研磨さんと黒尾さん
あんな必死な顔で歯食いしばってる研磨さん初めて見た
ゾクゾクと鳥肌が立つ
ネットを越えそうなボール、研磨さんが根性で上げて、黒尾さんがスパイクを放った
敵やのに、心の中で
いけーーー!って叫んでしまう
あとで研磨さんにド根性プレーでしたね、なんて言ったらきっとめっちゃ嫌な顔するやろうなって目に浮かんで、笑いが込み上げる
黒尾さんが放ったスパイクをノヤさんが
「うぉらぁぁぁ!!!」
と雄叫びを上げながらレシーブして、会場がどよめく