第12章 君への思い
「俺はこれで帰ります。煉獄先生、また道場で。」
「ああ!斉藤少年!また会おう!」
斉藤くんは私達と一緒アフタヌーンティーを一通り見たあと、いくつか雑貨を購入した。そして買い物を済ませると、煉獄さんと私に手を振って帰った。二人が買い物をしたのは時間にして数時間。とても短い時間だ。結局二人の買い物は何が目的だったんだろう?私二人の邪魔しちゃったかな。今更ながらに考えながら、私は改めて煉獄さんの荷物を見る。
「もうお買い物は良いんですか?」
「ああ!もう十分だ!」
「何を買ったんですか?」
「主に菓子だ!」
「お菓子ですか!」
お菓子を買いに来たのか。道場のみんなに配ったりするのかな?私はなんとなくそう考えて頷く。
「あ、煉獄さん、私少し御手洗に行ってきますね。ここでもう少し見ててください。」
「ああ!ここで待っている!」
私はそう言ってアフタヌーンティーを後にする。ついでにお化粧も直そう。私はそう考えて歩き出した。
数分後、トイレと化粧直しを済ませてお店へ帰ろうとするとその途中で見知らぬ男性に声をかけられた。
「あの、今日この後予定あります?」
「はい???」
「お姉さんのこと、ちょっと気になるなって!ダメですか?」
このデパートの道のど真ん中で、あろう事かナンパに捕まった。私は普段全くこういった経験がないので突然のことに戸惑う。無視だ、とりあえず無視をすればいいのか、いや、でも今返事しちゃったから無視は失礼か、などと考えていると男性がスマホを取り出して私に近寄ってきた。
「今日難しかったら、LINEだけでも交換しませんか?」
「いや、えっと…」
「中彩!」
私が対応に困っていると、お店にいたはずの煉獄さんが私を見つけてやって来た。私と、私の前にいる男性を見る。
「む、中彩の知り合いか?」
「いや、知り合いじゃない」
「あ、彼氏いたんだ…」
男性が苦笑いをする。そうだ、今だけ煉獄さんに彼氏になってもらって男性を引き離そう。そう思っていると、
「彼氏ではないが、後日彼女には自分の気持ちを伝えるつもりだ!」
と煉獄さんが言った。
「「え?」」
私と男性の声が重なる。
続けて煉獄さんが「中彩に何か用であれば俺も聞こう!」と言うと、男性は「なんでもないです!」と言って離れていった。