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どうか笑って。【鬼滅の刃/煉獄杏寿郎】

第12章 君への思い


「煉獄さん、何か変じゃありませんか?」

私が近寄り、訝しげに顔を覗き込むと煉獄さんは目を泳がせながら「そんなことはない!」と言う。

「ふうむ…?」

いや、おかしい、何かがおかしい。私が見つめると煉獄さんは頬をあからめる。やっぱりおかしい。私は煉獄さんが気になったが、もうそろそろ出る時間が迫っていた。気になる気持ちを引きずりつつ、私は一旦煉獄さんから離れる。煉獄さんもほっと胸をなでおろして出かける支度をし始める。そんな彼を私は後ろから眺める。

「あ、煉獄さん」

「む?」

煉獄さんが今はもうすっかり慣れた変装の帽子と眼鏡を付けている。鏡を見ながら付けているが、いまいち帽子の場所が定まらないようだ。私は再び煉獄さんに近づいて背を伸ばし、少し脱げそうな煉獄さんの帽子を調整した。

「煉獄さんもとっても似合ってますよ、帽子とメガネ」

「あ、ああ…///」

私と煉獄さんの目が合う。すると、煉獄さんはやはり顔を赤らめながら、私を見る。私何か変なこと言ったかな?と首を傾げると、煉獄さんは口元を抑えて顔を背けた。

「出発しよう、斉藤少年を待たせてはいけないからな。///」

「はい、そうですね!」






中彩が愛らしい。中彩が普段しない化粧をしているからという訳ではない。中彩へのこの気持ちに気づいてから、俺は、俺が俺でなくなるような、浮ついた心地を感じている。言葉でしか聞いた事のない、馴染みのなかった恋というものの輪郭に指先で触れている。この思いを大切にしたい。そう思うと、目の前の中彩が愛おしくて仕方ないのだ。

「煉獄さん、何か変じゃありませんか?」

「煉獄さんもとっても似合ってますよ、帽子とメガネ」

中彩が微笑む度に、心の凪に波紋が起こる。揺れる波に目の奥が熱くなる。俺は何とか思いを振り切り、中彩に向き直る。だが、三度その瞳を見ると、やはり冷静でいられない。中彩は俺を怪しんだ。

俺は、炎柱、煉獄杏寿郎、ここで心を乱されてはならない。

何度もそう心を燃やしたが、中彩の美しい瞳を見てしまうとやはり揺れてしまう。よもやよもやだ、俺はどうしたら良いのか。もう何度振り払ったか分からないこの思いを俺はもう一度振り払って中彩とともに家を出た。
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