第52章 波打つグルーヴ【渋谷事変】
――22:20
渋谷マークシティ
井の頭線 渋谷駅 アベニュー口(ぐち)
大量の改造人間を殺しながら、真希は「はぁ」と重たく息を吐き出した。
数が多すぎる。さすがに一人はカッコつけすぎたか。
本当なら、この場に残っているのは自分と直毘人の二人なのだが、彼は程よく酔いが回っているのか、大きな欠伸をしながら横になっている。
こんなことなら釘崎か順平に残ってもらった方が……いや、あの決断に後悔などない。
内心で首を振り、真希は高く跳躍して改造人間を槍で貫いた。さらにその槍を薙いで、斬り返すようにすぐ近くまで迫った改造人間を殺す。
その背後に別の改造人間が迫っていた。
しまった……!
攻撃を受けるべく防御の構えをとるが、その改造人間はドシャッと真っ二つに弾け飛ぶ。
「大丈夫ですか?」
「七海サン……⁉︎ なんでここに……⁉︎」
思いがけない援軍に目を丸くすると、彼は「話は後です」とサングラスを押し上げた。
「まずはここを片づけてしまいましょう」
そこからは早かった。さすが、一級術師の実力は本物だ。瞬く間に改造人間は掃討され、真希はようやく肩の力を抜くことができた。
「はぁ……助かったよ、七海サン。ジジィがてんで役に立たなくてさ。で、なんでここに? 恵と詞織は?」
「それより先を進みましょう。説明はその道すがら」
そう言う七海に頷き、真希は直毘人を叩き起こす。向かうのは渋谷駅らしい。
二人がついて来るのを確認し、七海が淡々と、それでいて重たい声音で話し始めた。
虎杖が合流したメカ丸から聞いたという、五条 悟封印と、それに絡む呪詛師・夏油 傑を騙る存在を。