第51章 モレンドに敬意を表して【渋谷事変】
「あぁ……悪いね。もう何年も禁煙してたんだけど……煙かったら離れてな」
ふぅ…と煙を吐き出す家入のところへ、また何頭もの馬が補助監督を連れて来る。
「この感じじゃ、灰原の【折神】も足りないな。それに、さっきから【反転術式】の精度も少しずつ下がってきてる……星良の消耗も激しい。アイツのことだから、非術師を見捨てられずに助けてんだろ」
やがて夜蛾が与を呼ぶ。
「与、傀儡の封印は解いた。今 こちらに向かわせている」
「分かった」
返事をすると、すぐに家入が「学長」と夜蛾へ視線を向けた。
「今 動かせる術師はどれだけいます?」
「二級が数名と三級以下が動ける」
「じゃあ、すぐに招集をかけて、“一般人を閉じ込める【帳】”――この中で改造人間の掃討に参加させてください。それと、医療班から呪力を持つ者も動員します」
“一般人を閉じ込める【帳】”から非術師は出ることができない。治療が必要な場合は【帳】内でやる必要があるため、直接 医療班を動員しようということか。
補助監督の出入りを拒まないということは、そのレベルの呪力を持っていれば制限はないということ。万が一 医療班のスタッフが負傷しても、家入のところまで戻って来られる。
それに、改造人間の強さは三級から、強くても二級程度。今 夜蛾が言った術師でも対処はできるし、医療班が入れば術師の治療も可能。
呪詛師も動いているという不安要素はあるが、呪術師を志した以上、リスクが大きいという理由で戦いを拒否することはできない。