第51章 モレンドに敬意を表して【渋谷事変】
『脹相! 赤血操術カ‼』
「知ってんのか⁉」
『加茂が同じ術式を使ウ』
加茂――確か御三家の一つだったよな。京都校にいる糸目の三年生がそんな名前だったはずだ。呪術甲子園のときに声を掛けられたのを覚えている。
『弱点は知らんゾ』
虎杖はメカ丸を耳につけながら、思わず「げ」と顔を顰めた。
メカ丸の話によれば、男――脹相の使う【赤血操術】は加茂家相伝の術式の一つとして重宝されているらしい。
血液を加圧して圧縮する【百斂】、それによる【穿血】や【血刃】で近距離・中距離・遠距離の全てにバランスよく対応できるからだ。
本来なら血を使う術式の特性上 失血しやすいことが最大の弱点だが、脹相は高専から盗まれた【呪胎九相図】が受肉した存在であり、その正体は呪霊と人間の混血児。
呪力を血液に変換できる特異体質を持ち、血を操る術式の弱点である失血のリスクを克服している。
『つまり、失血しない脹相に隙はナイ』
「有益な情報どーもっ!」
ビュンッと飛んできた血のレーザビームを紙一重でどうにか避けた。ヂリッと制服の袖が破ける。しなる鞭のように軌道を変える【穿血】を避け続け、床を抉って止まった。
『弱点は知らんが一つアイディアがあル。そのままトイレに逃げ込メ』
「トイレ⁉ いや、それは……」
狭い場所では【穿血】を避けきれない。もはや『狙ってください』と言っているようなものだ。
『説明は後ですル。成功率は一割ってとこダ。スマンが、失敗したら潔く死ネ』
「ひっでぇな」
だが、メカ丸の言う通り、このままの状態では距離を詰められず、ジリ貧で殺される。
虎杖は言われた通り、トイレに逃げ込んだ。
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