第51章 モレンドに敬意を表して【渋谷事変】
あの血のレーザビームは、撃ち出す前に必ず血の玉を作っているようだった。だから、あれを作らせないよう攻撃を続ける。
そこへ、男が両手を合わせて突き出した。あれは、血のレーザビームを放つときの構え。
虎杖は思わず足を止めて回避の体勢を取る。血の玉がなくても撃てるのか? それともまだ残って――……。
そんなことを考えていると、男は腰を低く落として虎杖に迫り、腹に拳を打ち据えてきた。
――フェイントかよ!
「――【赤鱗躍動(せきりんやくどう)】」
男の顔に描かれた横一線がズズ…と額から頬にかけて紋様を伸ばす。
足を払われ、体勢を崩したところへ男の掌底が頬に決まり、そのまま壁に打ちつけられた。すぐに身を起こしたところへ、真っ直ぐに両腕を伸ばした構え――……。
「【百斂――『穿血』】」
至近距離から放たれた血のレーザビームに虎杖の身体が吹き飛ぶ。
「チッ、焦ったな……圧縮が足りなかった」
クソッ、コイツ……強い! 術式も体術もレベルが高すぎる!
そこへ、『オイ!』と懐に入れていたメカ丸が声を発した。
『オイ! どういう状況ダ⁉』
「メカ丸⁉ オマエ、今まで何で……!」
『監視の目がキツくて反応できなかっタ!』
突然 知らぬ声が聞こえ始めたからか、男が怪訝な表情をするも、その手は血の玉を作っている。
懐からメカ丸を取り出すと、息を呑む気配が伝わった。