第51章 モレンドに敬意を表して【渋谷事変】
「誘っているな。いいだろう――【穿血】!」
足が接地していないタイミングを見計らい、男は血のレーザビームを放ってきた。空中では躱せないと思ったのだろう。
迫る赤い切っ先を見つめ、虎杖は身を仰け反らせ、身体を捻るように躱した。額から眉間にかけてレーザビームが掠めたが、構わず男へ迫る。
どうにか当てようと軌道を変える血のレーザビームに、駅の壁や天井に一線が刻まれていった。それを素早い身のこなしで避け続け、虎杖はグングンと距離を詰めていく。
やはり そうだ。この技が速いのは最初だけ。一度 避けてしまえば、軌道を流されても距離を詰めることができる。
このまま殴り合いに持ち込めば――……。
「――【超新星】」
虎杖の背後に血の玉が爆ぜ、その無数の飛沫が虎杖を貫く。先ほどいくつも作っていた血の玉だ。
「つっ……!」
呪力で強化したことで肉体を貫かれることはなかったが、制服が焼け、ジュゥゥ…と音を立てた。
――【赤血操術『超新星』】
【百斂】で圧縮した血液を解放し、全方位を散弾のように撃ち抜く。
衝撃と痛みに動けない虎杖の足を地に縫いつけるべく、男は血で作った刃で刺した。
虎杖はグッと歯を食いしばり、貫く男の手を押しやり、顔面へ向けて蹴りを放つ。さらに、それを軸に身体を回転させ、踏みつけるように蹴りを入れた。
地面に手をつき、よろめく男へ追撃すべく距離を詰める。