第50章 止まらずに進むセグエンテ【渋谷事変】
――21:40
松濤文化村ストリート(【帳】外)
順平と新田を引き連れて先頭を走っていると、釘崎は不意に気配を感じた。
「吉野、新田ちゃん、ストップ」
視線の先には、片側で髪を結び、ダボついた服を着た男がゆったりと歩いてくる。持ち手が手のひらになった剣――交流会を襲撃した呪詛師の一味だ。
「あー! スーツの女の子だぁ! 嬉しいなぁ! 男ばっかで飽き飽きしてたの」
「呪詛師……」
男の言葉に、順平が警戒した声音で【澱月】を呼ぶ。
「新田ちゃん、隠れてて。すぐ終わるから」
金槌を男に向け、前方を警戒しながら釘崎は新田に囁いた。
「Bunkamuraに隠れたフリして、そのまま東急を通り抜けて」
「さっきの口ぶり……伊地知さん、アイツにやられたのかも。だとしたら 急がないと……」
そう。手遅れになる前に治療を受けさせなければ。
釘崎と順平に、新田が「ッス」と頷く。
「釘崎サンと吉野クンも、無理はしないで」
そんな話をしていると、男は剣を高く振り上げた。
「コソコソ話? 気になるじゃん」
男が剣を投げつけてくる。それを釘崎は金槌で叩き落とした。その隙に新田がBunkamura内へと入る。
「あーぁ、隠れちゃった」
唇を尖らせる男に、釘崎は口角を上げた。
「吉野! 呪具頼りのヤツは術式 持ってても中距離タイプが多い! 攻めっぞ!」
自ら丸腰になるとか舐めているのか。だが、おかげで戦いやすくなる。
順平の命令で【澱月】が鋭く触手を伸ばした。男はそれを「うぉっ⁉︎」と大きく仰け反って避ける。