第50章 止まらずに進むセグエンテ【渋谷事変】
――21:22 渋谷マークシティ
補助監督である新田 明の突入の合図に、真希は直毘人と共に釘崎や順平を連れ、【帳】内――渋谷マークシティに入り、思わず絶句した。
阿鼻叫喚を絵に描いたような光景――改造人間がひしめき、手当たり次第に一般人を殺している。
改造人間――呪霊のような見た目をしているが、人間が無理やり形を変えられたもの、だったか。
最初に動いたのは真希だった。槍を旋回させ、一般人の女性に掴みかかろうとした改造人間を貫く。
良心の呵責、なんてものはない。元人間とはいえ、ソイツはすでに死んでいる。それよりも殺されそうになっている人間を助ける方が大事だ。
釘崎もそのことは理解できているようで、すぐに釘に呪力を込め、金槌で飛ばして改造人間を殺し始める。
「おい、順平。戦えねぇなら高専に帰れ。今のうちだぞ」
自分にも釘崎にも、術師としてのキャリアがある。
改造人間を殺すことと人間を殺すことが同義であったとしても、それを割り切ることができる術師の思考。
だが、それを新人術師に求めるのは酷というもの。
けれど、真希の言葉に深く長く息を吐き出した順平は、手を眼前で交差させた。
「――【澱月】!」
順平の背後に滑らかな身体を持つクラゲの式神が現れる。
【澱月】は少し離れた場所で一般人を襲う改造人間に毒の触手を勢いよく伸ばして刺した。ビクビクッと改造人間の身体が痙攣し、絶命する。