第50章 止まらずに進むセグエンテ【渋谷事変】
――22:04
首都高速三号線 渋谷Cタワー前
バシュッと音を立てて【帳】が上がったが、どうやら全ての【帳】は上がっていない。
伏黒がそんなことを考えていると、ビルから「おーい!」と虎杖が手を振りながら男を引きずって出てくる。
「ユージ、無事? ケガは?」
「ヘーキ! それより 悪ぃ、遅くなっちまった。ビルの中が改造人間でごった返しててさ」
申し訳なさそうに頭を掻くと、虎杖が「それより」と上空を見上げた。
「今 上がったのって“術師を入れない【帳】”だけだよな? オマエらも【帳】の基 壊したんだろ? 猪野さんのも合わせて三つとも壊したのに」
「三つで一枚の【帳】を下ろしてたんだろ」
「それか、二つはダミーだったとか」
伏黒の推測に詞織も続ける。
残りは“五条 悟を閉じ込める【帳】”と“一般人を閉じ込める【帳】”だけ。
だが、“術師を入れない【帳】”が上がったことで、自分たち術師は渋谷を自由に動けるようになった。
本当ならこの男に色々と話を聞きたかったが起きそうにない。
虎杖が引きずって隣に並べた男も呪詛師らしいが、こちらも起きる気配はない。
「ひとまず、猪野さんと合流して……」
ビルを見上げ、伏黒は瞠目した。
「猪野さん!」
とっさに【鵺】を呼ぶ。遠目だが、猪野に間違いないという確信があった。
【鵺】の身体をクッションにして落下の勢いを弱め、走り出していた虎杖が猪野を受け止める。