第50章 止まらずに進むセグエンテ【渋谷事変】
「どうじゃ? 孫」
「うん。いいよ、婆ちゃん――今までにない」
ニットの男の顔がザワザワと変わっていった。ニットの男とは似ても似つかない――長身に黒い髪、口元に傷のある鋭い目つきの男。
【降霊術】による変身⁉
あのババア、イタコだったのか⁉
いや、問題はそこじゃない。
【獬豸】を素手で受け止めた――何なんだ、コイツ! 有名な術師か⁉
だが、立ち姿だけで分かる……クソ強ぇ‼
出し惜しみなんてしていたら、確実に死ぬ!
「【四番――『竜』】――……」
瞬間、視界が開ける。顔を覆っていたニット帽が剥がされ、術式が解除されてしまう。
速い――そう思って振り返ったときには、顔面に拳がねじ込まれていた。さらに、男は反動でのけ反る猪野の胸倉を掴んで引き寄せる。
畳みかけるように繰り出された連撃に、猪野の意識は遠のいていった。
* * *