第30章 アルティソナンテに膨らむ想い【起首雷同】
――オガミ婆の【降霊術】は、彼女の死後も継続する。器である孫の呪力が尽きた時点で降霊も終わる……はずだった。
――はじめから禪院 甚爾の肉体に上書きされた孫の魂に呪力はなく、そのうえ その肉体は呪力を消費しない。
――術式は終了する契機を失った。重なったイレギュラーによる術式の暴走。
――今、禪院 甚爾は器が壊れるまで、本能のまま戦い続ける殺戮人形と化した。
甚爾が【游雲】を構え、低く腰を落とす。全く隙がない。むしろ、気迫だけで身を引き裂かれそうだ。
――その牙は、常に強者へと向かう。
『なんなの、この男……呪力が全く感じられない。こんなことってあるの?』
非術師も、【天与呪縛】の真希すら、わずかでも呪力を持っている。全くない(・・・・)なんてことがあり得るのか?
『言うに及ばんな』
詩音が呟くも、特級は彼女ではなく男へ式神を放った。
――ドパァッ!